生成AIの社内導入が止まる、3つの分岐点

この記事の要点

生成AIの導入が止まるのは、対象業務・判断基準・情報の扱い・担当の4つを着手前に決めていないためです。この4つを先に決めると、検証後に議論ではなく判断ができます。

生成AIの検証を始めた企業のうち、業務に組み込むところまで進むのは一部にとどまります。止まる理由を伺うと、モデルの性能や費用の話はほとんど出てきません。出てくるのは、決めていなかったことの話です。

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検証は終わったが、続きが決まらない

よくあるのは、部門横断のチームで数か月かけて検証し、「一定の効果は確認できた」という報告で終わる形です。報告のあと、次に何をするかが決まりません。効果が確認できたのに進まないのは、何がどうなったら本格導入するのかを、着手前に決めていなかったからです。

検証の目的が「使えるかどうかを確かめること」になっていると、確かめ終わった時点で目的が達成されてしまいます。判断のための検証にするには、判断基準が先に要ります。

検証から先へ進むまでに、決める順番止まる箇所は、技術ではなく意思決定の側にあることがほとんどです。
  1. 01 着手前 対象業務を1つに絞る 「全社で使う」から始めると、誰の業務が楽になるのかが定義できません。工数の大きい業務を1つ選びます。
  2. 02 着手前 判断基準を先に決める 何がどれだけ改善したら続けるのか。決めずに始めると、検証が終わっても議論が終わりません。
  3. 03 着手前 扱う情報の範囲を確定する 社内の非公開情報・顧客情報・未公開の重要事実のどこまでを入れてよいか。ここが未確定だと現場が使いません。
  4. 04 展開時 担当と運用を決める 誰が使い方を整え、誰が改善を続けるのか。担当が決まらないまま終わる例が最も多く見られます。

01〜03は着手前に決めておくと、検証後の判断が短くなります。

全社に配ってから考える、の落とし穴

もう一つ多いのが、まず全社にアカウントを配り、使い方は各自に任せる進め方です。着手は速いのですが、数か月後に残るのが「利用率」という数字だけになりがちです。利用率が高くても、どの業務がどれだけ楽になったのかは分かりません。

進め方による違いどちらが正解ということではなく、社内に残るものが変わります。
観点全社ツール導入まず配る業務を絞って実装1業務から推奨
着手までの早さ速いアカウント配布のみ
効果の測り方難しい利用率しか見えない
定着の仕方個人差が大きい使う人だけが使う
社内に残るものアカウント

全社配布が無駄という意味ではありません。順番の問題です。

全社配布そのものが悪いわけではありません。1つの業務で手順と判断基準をつくってから配ると、配った先で何をすればよいかが伝わります。順番の問題です。

情報の扱いが決まらないと、現場は使わない

現場が使わない理由として最も多いのが、「入れてよい情報の範囲が分からない」というものです。禁止されているわけではないが、許可されてもいない。この状態では、リスクを取ってまで使う人はいません。

必要なのは詳細な規程ではなく、まず現場が迷わない粒度の線引きです。

  • 公開済みの情報 … 制限なく使える
  • 社内の非公開情報 … 指定した環境でのみ使える
  • 顧客の個人情報・未公開の重要事実 … 入力しない

この3段階を先に示すだけで、現場の動きは変わります。細かい判断が必要な場面は、そのつど相談する窓口を決めておけば足ります。

着手前に決めておくこと

  • 対象業務:工数が大きく、担当が特定できる業務を1つ
  • 判断基準:何がどれだけ改善したら続けるのか
  • 情報の範囲:入れてよい情報と、入れない情報
  • 担当:使い方を整え、改善を続ける人

この4つが決まっていれば、検証が終わったときに議論ではなく判断ができます。決まっていない場合は、検証を始める前にここから着手されることをおすすめします。

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