この記事の要点
CACとLTVが判断に使われないのは、集計の単位と期間が意思決定の単位と合っていないためです。チャネル別・獲得月別に分けると、どこにいくら足すかを月次で決められます。
CACとLTVは、ほとんどの会社ですでに計算されています。それでも投資判断に使われていないことが多いのは、集計の単位が意思決定の単位と合っていないためです。
目次
全社平均は、判断に使えない
全社平均のCACが3万円、LTVが12万円。この2つの数字からは、来月どのチャネルにいくら足すかを決められません。平均の中に、CACが1万円のチャネルと8万円のチャネルが混ざっているためです。
判断に使うには、最低でも次の2つで分けます。
- チャネル別どこから来た顧客か。広告・検索・紹介・イベントは別物として扱います
- 獲得月別いつ獲得した顧客か。同じチャネルでも、時期によって定着率が変わります
例示のための数値です。実際の値は事業と時期によって変わります。
LTVは「回収済み」と「見込み」を分ける
LTVの計算に将来の継続を織り込むと、数字は大きくなりますが、判断には使いにくくなります。実務では、次の2つを分けて見るほうが機能します。
- 回収済みすでに支払われた金額の累計。事実です
- 見込み現在の継続率が続いた場合の推計。前提が変われば変わります
投資を増やす判断は回収済みで、上限を検討する議論は見込みで行うと、話が混ざりません。
回収期間を、判断の軸にする
LTV÷CACの倍率は分かりやすい指標ですが、いつ現金が戻るかを教えてくれません。資金繰りに制約がある場合、回収までの月数のほうが実務的です。
「回収12か月以内のチャネルには上限まで投じる、18か月を超えるチャネルは検証扱いにする」といった形にすると、毎月の配分をその場で決められます。
算定条件を必ず書き添える
CACに人件費を含めるかどうか、LTVを粗利で見るか売上で見るか。この前提が共有されていないと、同じ数字を見ながら別の議論になります。数字の横に前提を一行書く。それだけで、会議の時間が変わります。
